ボルダリングの斜面と角度の呼び方をマスターしよう!初心者向け壁ガイド

ボルダリングの斜面と角度の呼び方をマスターしよう!初心者向け壁ガイド
ボルダリングの斜面と角度の呼び方をマスターしよう!初心者向け壁ガイド
級・グレード別の壁

ボルダリングジムに一歩足を踏み入れると、さまざまな傾きの壁が目に飛び込んできます。垂直な壁もあれば、手前に大きく倒れ込んでいる迫力満点の壁もあり、初めての方はその多様さに驚くかもしれません。これらの壁には、角度や形状に応じた専門的な「呼び方」が存在します。

ボルダリングの斜面や角度の呼び方を覚えると、ジムのスタッフさんや常連さんとのコミュニケーションが格段に楽しくなります。「今日はあのスラブを攻略しよう」といった会話ができるようになると、初心者から一歩抜け出した気分になれるものです。また、壁の種類ごとに登り方のコツも異なるため、呼び方を知ることは上達への第一歩と言えます。

この記事では、ボルダリングの斜面や角度の呼び方について、基礎知識から登り方のポイントまで詳しく解説します。これからボルダリングを本格的に始めたい方や、壁の種類がいまいち分かっていない方は、ぜひ参考にしてください。正しい知識を身につけて、より深くボルダリングの世界を楽しみましょう。

ボルダリングの斜面の角度による呼び方の基本

ボルダリングで使用される壁は、その傾斜(角度)によっていくつかの決まった名称で呼ばれます。基本的には、垂直な90度を基準として、それより鋭角か鈍角かで呼び方が変わります。ここでは、ジムで必ず耳にする主要な4つの呼び方について詳しく見ていきましょう。

垂直な壁を指す「垂壁(すいへき)」

「垂壁(すいへき)」とは、地面に対して角度が垂直(90度)になっている壁のことです。ボルダリングジムで最も一般的かつ基礎となる壁であり、多くの初心者用コースがこの垂壁に設置されています。見た目はシンプルですが、実は奥が深いのが垂壁の特徴です。

垂壁では、腕の力だけでなく、足の使い方や重心の移動といったボルダリングの基本動作を学ぶのに最適です。角度が垂直であるため、自分の体重を足にしっかりと乗せやすく、腕を休めながら登る感覚を養うことができます。初級者から上級者まで、基本に立ち返る場所として重宝される斜面と言えるでしょう。

また、垂壁はホールド(突起物)の持ちやすさや配置によって、難易度が劇的に変化します。大きなホールドが多ければ登りやすいですが、指先しかかからないような小さなホールドが並ぶと、一気に繊細な動きが求められるようになります。全ての登りのベースとなる呼び方なので、まずはこの名前をしっかりと覚えておきましょう。

奥に倒れている「スラブ」

「スラブ」とは、角度が90度未満(80度や85度など)で、奥に向かって倒れている斜面のことです。一見すると傾斜が緩いため、初心者でも簡単に登れそうに見えますが、実は「ボルダリングの中で最も神経を使う」と言われるほどテクニカルな壁です。腕の力で強引に登ることが難しく、バランス感覚が何よりも重要視されます。

スラブでは、ホールドに体重を預けるというよりも、壁に「乗る」感覚が求められます。わずかな重心のズレが落下の原因となるため、呼吸を整えて慎重に動く必要があります。また、スラブ特有の小さなホールドや、ホールドのない面に足を押し付ける「スマアリング」という技術も多用されます。

スラブの面白さは、筋力に自信がない女性や子供でも、バランス感覚を武器に上級者と同じように登れる点にあります。斜面の角度が緩いからといって油断は禁物ですが、攻略できた時の達成感はひとしおです。ジムで斜めに奥へ倒れた壁を見かけたら、それがスラブだと呼び方を思い出してください。

手前にせり出す「オーバーハング(前傾壁)」

「オーバーハング」または単に「ハング」と呼ばれる斜面は、角度が90度を超えて手前にせり出している壁を指します。別名として「前傾壁(ぜんけいへき)」とも呼ばれます。初心者にとっては、ぶら下がるような形になるため、非常に力が必要に見えて圧倒されるかもしれませんが、これぞボルダリングという醍醐味が味わえる壁です。

オーバーハングでは、重力が真下にかかるため、腕や背中の筋肉への負担が大きくなります。しかし、腕の力だけで登ろうとするとすぐに限界が来てしまいます。ここで重要になるのが「足の技術」です。足をしっかりとホールドに引っ掛け、体全体を使って重力を分散させるテクニックが必要不可欠となります。

角度が100度から130度程度まで、その傾斜の度合いはさまざまです。角度が強くなるほど難易度は上がりますが、ダイナミックな動き(ムーブ)が必要になるため、登っている姿は非常に華やかになります。筋肉を効率よく使い、スマートに攻略することがオーバーハングを登る上での目標となります。

まるで天井のような「ルーフ」

「ルーフ」とは、その名の通り「天井」のように地面と水平に近い角度になった壁のことです。角度で言うと180度に近い状態を指します。オーバーハングの究極の形とも言え、ボルダリングジムの中でも特に目立つエリアに設置されていることが多いです。まさに重力との戦いになる斜面です。

ルーフを登る際は、背中を地面に向けた状態で移動していくことになります。腕の保持力(ホールドを掴み続ける力)はもちろん、腹筋や背筋などの体幹、そして足が離れないようにホールドを蹴り出す力が極限まで求められます。初心者がいきなり挑戦するのは難しいですが、目標の一つとして掲げるクライマーは多いです。

ルーフでの呼び方を覚える際に知っておきたいのが、「トウフック」や「ヒールフック」という技術です。足のつま先やかかとをホールドに引っ掛けて、体を安定させる動きが多用されます。まるで忍者のような動きで天井を渡っていく姿は、ボルダリングの魅力を凝縮したような光景と言えるでしょう。

各斜面の特徴と難易度の違い

ボルダリングの斜面には、それぞれ特有の性格があります。単に角度が違うだけでなく、求められる能力や体への負担も大きく異なります。各壁の種類を知ることで、自分の得意不得意を把握しやすくなります。ここでは、代表的な斜面の難易度の傾向と特徴をさらに深掘りしてみましょう。

【角度別の主な呼び方と特徴まとめ】

呼び方 角度(目安) 主な特徴
スラブ 80°〜85° 足の重心移動とバランスが最重要
垂壁 90° 基本ムーブの習得に最適
オーバーハング 100°〜130° 筋力とテクニックのバランスが必要
ルーフ 150°〜180° 強靭な体幹と足技が求められる

バランス感覚が試されるスラブの魅力

スラブは、ボルダリングの中でも「最も知的な壁」と呼ばれることがあります。なぜなら、力任せでは絶対に登れないからです。斜面の角度が緩いため、ホールドそのものは非常に小さくて持ちにくい「カチ」や、丸みを帯びた「スローパー」が多く配置される傾向があります。

スラブの最大の魅力は、自分の重心がどこにあるかをミリ単位で意識する繊細さにあります。少しでも腰が引けたり、足の置き場を間違えたりすると、一気に壁から引き剥がされてしまいます。しかし、ピタッとバランスがハマった瞬間にスッと体が上がる感覚は、スラブでしか味わえない快感です。

また、スラブは転倒した際に壁に体を擦りやすいという特徴もあります。そのため、足元をしっかり確認しながら一歩ずつ慎重に進む精神的な強さも養われます。筋力に頼らず、テクニックと精神力で攻略したい方にとって、スラブは非常に奥深く楽しい斜面となるはずです。

基礎が詰まった垂壁(90度)の役割

垂壁は、あらゆるクライミングの「標準」となる斜面です。多くのジムでは、初心者が最初に触れる壁がこの垂壁に設定されています。その理由は、重力が垂直にかかるため、自分の体勢が正しいかどうかを確認しやすいからです。手の保持力と足の踏み込みのバランスを学ぶのにこれほど適した場所はありません。

垂壁での練習は、上達のスピードを左右します。例えば、腕を伸ばして体重を骨で支える「レスト(休憩)」の姿勢や、対角線上の手足でバランスを取る「ダイアゴナル」といった基本ムーブは、垂壁で練習するのが一番効率的です。角度がついた壁では、これらの基本ができていないとすぐに疲れてしまいます。

中上級者にとっても、垂壁は課題(ルート)の設定次第で非常に難しくなります。小さなホールドを正確に捉え、無駄のない動きを突き詰めるトレーニングに最適です。自分のフォームを客観的に見直し、基本に立ち返りたい時は、垂壁の課題にじっくり取り組むことをおすすめします。

筋力とテクニックが必要な強傾斜

一般的に、110度から130度程度のオーバーハングを「強傾斜(きょうけいしゃ)」と呼びます。この角度になると、腕にかかる負荷が急激に増します。しかし、単にパワーがあれば登れるわけではなく、むしろ「いかに腕を使わずに登るか」という高度なテクニックが求められるようになります。

強傾斜では、足を高く上げたり、遠くのホールドを狙ったりするダイナミックな動きが多くなります。また、ホールドから足が切れて(離れて)しまった時に、空中でお腹に力を入れて体を制御する能力も必要です。これは「キャンパシング」と呼ばれる動きにも繋がる、ボルダリングのダイナミズムを象徴する斜面です。

強傾斜を攻略するためには、ホールドを強く握るだけでなく、足の指先でホールドを「掻き込む」ような技術が重要になります。足で壁を引き寄せることで、上半身の負担を減らすのです。この感覚を掴むことができれば、強傾斜の攻略がぐっと身近になり、ボルダリングがさらに面白くなってくるでしょう。

最もダイナミックなルーフクライミング

ルーフは、ボルダリングジムの中でも最高峰の挑戦状とも言える斜面です。地面と並行に近い角度で進むため、常に自分の体重を腕と足で支え続けなければなりません。ここでは、重力に逆らうための全身の連動性が極限まで試されます。見た目の派手さに反して、非常に緻密な足のコントロールが必要な場所です。

ルーフでのクライミングは、他の斜面とは全く異なる景色が見えます。真上に壁がある状態での移動は、空間認識能力も刺激されます。ホールドの持ち方一つとっても、ルーフでは親指をしっかり使う「ピンチ」や、ホールドの裏側を引くような持ち方が多用されます。全身をバネのように使って進む感覚は、まさに非日常の体験です。

もちろん、ルーフは落下の際の衝撃も大きくなりやすいため、安全への配慮も欠かせません。しかし、ルーフを最後まで登りきり、天井から脱出した時の解放感と達成感は、他のどの角度の壁でも得られない特別なものです。呼び方を知り、いつかは挑戦したい憧れのステージとして、ジムのルーフを眺めてみてください。

斜面の角度に合わせた登り方のコツ

ボルダリングの斜面の呼び方を覚えたら、次はそれぞれの角度に適した登り方の基本を知りましょう。壁の種類によって、意識すべき体の部位や力の使い方は大きく変わります。ここでは、各斜面をよりスムーズに登るための具体的なコツを紹介します。

初心者の方は、まずは「垂壁」と「スラブ」で足の使い方を覚え、慣れてきたら徐々に「オーバーハング」などの傾斜がある壁に挑戦するのが上達の近道です。

スラブでは「足」と「重心」を意識する

スラブ攻略の合言葉は「足」と「重心」です。斜面が奥に倒れているため、手でホールドを強く引こうとすると、かえって重心が壁から離れてしまい、足が滑りやすくなります。大切なのは、「手は添えるだけ、体重は足で支える」という意識を持つことです。

具体的には、腰を壁に近づけるように意識し、足の親指の付け根(母指球)にしっかりと体重を乗せます。スラブでは小さな突起に足を置くことが多いため、シューズの先でホールドを正確に捉える精度が求められます。視線を足元にしっかり落とし、確実に足が決まったことを確認してから次の動作に移るようにしましょう。

また、移動する際は頭を上下左右に大きく動かさず、滑らかな重心移動を心がけてください。急な動きはバランスを崩す原因になります。ゆっくりと、自分の体の真ん中にある重心を次の足の上へと移動させていくイメージで登ると、安定感が驚くほど増していきます。

垂壁では「ダイアゴナル」などの基本ムーブを

垂壁は基本を忠実に守ることが最も効率的な登り方になります。特におすすめなのが「ダイアゴナル」というムーブです。これは、右手でホールドを掴んでいるときは左足に体重を乗せ、左手で掴んでいるときは右足に乗せるという、対角線でバランスを取る技術です。これにより、体が壁から剥がれにくくなり、最小限の力で登ることができます。

また、垂壁では「腕を伸ばして登る」ことも非常に重要です。初心者のうちは、不安からつい腕を曲げて体を引き寄せがちですが、これではすぐに腕の筋肉が疲れてしまいます。ホールドを掴んだら一度腕をまっすぐ伸ばし、下半身の力で体を押し上げるようにすると、体力を温存しながら高いところまで辿り着けます。

ホールドの使い分けも意識してみましょう。垂壁にはさまざまな向きのホールドがありますが、それを「どの方向に引けば最も安定するか」を考えるのがコツです。真っ直ぐ下に引くだけでなく、横に引いたり(サイドプル)、下から押し上げたり(アンダー)する動きを練習することで、登りのバリエーションが広がります。

前傾壁では「腕を伸ばす」ことが疲れない秘訣

オーバーハングのような前傾壁では、重力に負けないように腕を曲げて踏ん張ってしまいがちです。しかし、これを続けると数分で腕がパンパンになってしまいます(これを「パンプする」と言います)。前傾壁こそ、意識的に「腕を伸ばしてぶら下がる」時間を長くすることが大切です。

腕を伸ばしている間は、骨で体重を支えている状態になるため、筋肉の消耗を抑えられます。移動する瞬間だけグッと体を引き寄せ、次のホールドを掴んだらすぐにまた腕を伸ばす、というメリハリのある動きを心がけましょう。また、足便り(フットホールド)を常に意識し、腕だけで登ろうとしないことが鉄則です。

さらに、前傾壁では「膝を内側に入れる(キョン)」というムーブも効果的です。これにより、腰を壁に近づけることができ、腕への負担を劇的に減らすことが可能です。角度が強くなればなるほど、上半身のパワーではなく、下半身を使ったテクニックが重要になるということを覚えておきましょう。

ルーフでは「足のホールド」を外さない工夫

ルーフでの最大の課題は、足がホールドから離れてしまう「足切れ」を防ぐことです。天井にぶら下がっている状態で足が離れると、全ての体重が腕にかかり、一気に体力を奪われます。これを防ぐためには、足の甲を引っ掛ける「トウフック」やかかとを乗せる「ヒールフック」を駆使する必要があります。

ルーフを登る際は、単にホールドに足を置くだけでなく、足の指先でホールドを「自分の体の方に引き寄せる」ように力を入れ続けます。これにより、体と壁が一体化し、安定した移動が可能になります。腹筋を常に緊張させて、下半身と上半身を繋ぎ止めるイメージを持つことが攻略のポイントです。

また、ルーフでは次に掴むホールドが視界に入りにくいこともあります。登り始める前に、下からホールドの位置と向きをしっかり確認する「オブザベーション(下見)」が特に重要です。ルーフの中での迷いは命取りになるため、頭の中で登る手順を完璧にシミュレーションしてから取り組むようにしましょう。

ジムでよく使われる角度に関する用語集

ボルダリングジムでは、これまで紹介した基本的な呼び方以外にも、角度や形状を表す独特の用語が飛び交います。これらの言葉を知っておくと、他のクライマーの話がより深く理解できるようになります。ここでは、現場でよく使われる便利な用語をいくつかピックアップして紹介します。

角度の呼び方はジムや地域によって若干のニュアンスの違いがある場合もありますが、基本的にはここで紹介する用語を押さえておけば困ることはありません。

「どっかぶり」や「薄かぶり」とは?

オーバーハングの斜面に対して、その傾斜の度合いを表現する言葉として「かぶり」という言葉がよく使われます。例えば、わずかに傾斜している壁は「薄かぶり(うすかぶり)」と呼ばれます。角度で言うと95度から110度くらい、少し手前に倒れているかな、と感じる程度の壁です。

一方で、圧倒されるような強い傾斜の壁は「どっかぶり」と呼ばれます。130度以上の強傾斜や、地面に迫るような迫力のある壁を指す際によく使われる、非常に口語的な表現です。「あそこのどっかぶり、難しそうだね」といった会話はジムで頻繁に交わされます。

このように「かぶる(被る)」という言葉をベースにした表現は、ボルダリングの日常会話に深く浸透しています。角度の数字を正確に言うよりも、「薄かぶり」「どっかぶり」と言う方が、その壁の威圧感や攻略の難しさが伝わりやすいという側面もあります。ぜひ覚えて使ってみてください。

角度の目安(度数)と体感難易度の関係

ボルダリングの壁の角度は、一般的に「度数」で表されます。ジムによっては壁の横に「110°」といったプレートが貼られていることもあります。この角度と、実際に登った時の「体感難易度」には面白い関係があります。基本的には角度が強くなるほど腕力が必要になりますが、必ずしも角度が緩いからといって簡単とは限りません。

例えば、85度のスラブは、110度の薄かぶりよりも「怖い」と感じることがあります。それは、滑り落ちる恐怖やバランスの繊細さが原因です。逆に、130度のどっかぶりでも、ホールドが非常に大きくて持ちやすければ、初心者でも登りきれる場合があります。角度はあくまで一つの目安であり、実際の難しさは「角度×ホールドの質」で決まるのです。

自分の得意な角度を知ることも大切です。「自分は100度くらいの薄かぶりが一番動きやすい」とか、「90度の垂壁はじっくり考えられるから好きだ」といった傾向が見えてくると、課題選びがさらに楽しくなります。角度ごとの体感難易度の違いを肌で感じてみてください。

ホールドの向きと角度の組み合わせ

斜面の角度と同じくらい重要なのが、ホールドが設置されている向きとの組み合わせです。例えば、垂壁にある横向きのホールドと、オーバーハングにある同じ向きのホールドでは、持ちやすさが全く異なります。傾斜が強くなればなるほど、ホールドの「持ちが良い」方向が限定されてくるからです。

特に「アンダーホールド(下から持つホールド)」は、角度によってその使い勝手が大きく変わります。垂壁でのアンダーは、足を高く上げることで安定しますが、強傾斜でのアンダーは、より強い体幹と背中の筋力が必要になります。斜面に合わせて「どの方向に力をかけるべきか」を瞬時に判断する力が、中級者への鍵となります。

また、角度の変わり目にあるホールドにも注目です。平面から平面へ角度が変わる場所(コーナーやカンテなど)にあるホールドは、複数の持ち方ができる場合があり、登り方の自由度が高まります。壁の角度とホールドの向きの関係性を観察する癖をつけると、攻略のヒントが見つかりやすくなります。

壁の形状による「多面体」や「カンテ」の呼び方

ボルダリングの壁は、単なる平面だけではありません。複数の角度が組み合わさった複雑な形状のものもあります。例えば、いくつもの三角形や四角形の面が組み合わさってできた壁を「多面体(ためんたい)」と呼びます。この壁では、登っている途中で角度が急に変わるため、常に姿勢を微調整する必要があります。

また、壁の外側に飛び出した角の部分を「カンテ」、内側に凹んだ角の部分を「コーナー(入隅)」と呼びます。これらの形状は、角度の変化を象徴する場所です。カンテを手で抱え込むようにして登ったり、コーナーの両側の壁に手足を突っ張って登ったり(ステミング)と、特殊な技術が求められます。

これらの形状の呼び方を覚えると、課題の解説などで「カンテ沿いに登る」と言われた時に、すぐにどの場所を指しているのかが理解できるようになります。単なる「角度」だけでなく「形」にも注目することで、ボルダリングジムの壁をより立体的に捉えることができるようになるでしょう。

初心者が斜面を攻略するためのステップアップ法

斜面や角度の呼び方を理解したら、次はそれらを段階的に攻略していく方法を考えましょう。初心者がいきなり強傾斜に挑んで挫折してしまうのはもったいないことです。適切な順序でトレーニングを積むことで、どんな斜面でも楽しく登れるようになります。

まずは垂壁とスラブで基本を身につける

ボルダリングを始めて最初の数回は、垂壁(90度)とスラブ(90度未満)の課題を重点的に触ることをおすすめします。これらの斜面は、腕力に頼りすぎず「足で登る」というボルダリングの根幹を学ぶのに最適だからです。ここで正しいフォームを身につけておかないと、後々、傾斜のある壁で苦労することになります。

特にスラブでは、ホールドがない場所でも「ここに足を置けばバランスが取れる」という感覚を養うことができます。これは、難しい課題になればなるほど役立つスキルです。垂壁では、スムーズな手足の運び(ムーブ)を意識しましょう。何も考えずに登るのではなく、「次は右足、その次は左手」と意識して動く練習を繰り返してください。

焦る必要はありません。垂壁やスラブにある初級用の課題(ピンク色や白色などのテープが多いです)を全制覇するくらいの気持ちで取り組むと、自然と体幹やバランス感覚が鍛えられていきます。基礎が固まれば、斜面が変わっても応用が効くようになります。

傾斜に慣れるためのトレーニング方法

垂壁に慣れてきたら、いよいよ薄かぶり(100度〜110度程度)の壁に挑戦してみましょう。最初は「腕がすぐに疲れる」と感じるはずですが、これは誰もが通る道です。傾斜に慣れるためのコツは、できるだけ「低い位置」で横に移動する練習(トラバース)を取り入れることです。

低い位置での横移動なら、万が一落下しても安全ですし、腕が疲れたらすぐに足をつけられます。傾斜のある壁で横に動くことで、どのように重心を移動させれば腕の負担が減るのかを、何度も試行錯誤することができます。この練習を繰り返すと、前傾壁特有の重力感覚に体が適応していきます。

また、自宅でできる簡単なトレーニングとして、腹筋や背筋といった体幹を意識したエクササイズも有効です。特別な道具は必要ありません。壁の角度に負けない「体の一体感」を作るために、プランクなどの静止トレーニングを少しずつ取り入れてみるのも良いでしょう。

シューズの選び方で変わる傾斜への対応力

ボルダリングの斜面を攻略する上で、実は「クライミングシューズ」の種類も重要な役割を果たします。シューズには大きく分けて、ソール(靴底)が平らな「フラット型」と、つま先が下向きに曲がった「ダウントウ型」の2種類があります。これらは、得意とする斜面が異なります。

初心者が最初に履くことの多いフラット型のシューズは、スラブや垂壁で足をベタッと置くのに適しています。足が疲れにくく、長時間の練習に向いています。一方で、オーバーハングやルーフのような強傾斜では、ダウントウ型のシューズが威力を発揮します。つま先が曲がっているため、手前にせり出したホールドを「掻き込む」動きがしやすくなるのです。

もちろん、初心者がいきなり高価なダウントウ型を買う必要はありません。まずはレンタルシューズや初心者用のフラット型で、全ての斜面を経験してみましょう。上達して「もっと強傾斜を登れるようになりたい!」と思ったタイミングで、自分の登りたい斜面に合わせたシューズ選びを検討するのがベストです。

上手な人の動きを観察して「形」を真似る

ボルダリング上達の最強の近道は、自分よりも上手なクライマーの動きをじっくりと観察することです。特に、自分が苦戦している角度の壁をスイスイと登っている人がいたら、その人の「足の置き方」や「腰の位置」に注目してみてください。そこには必ず、その斜面を楽に登るためのヒントが隠されています。

例えば、強傾斜で腕が伸びきっているのに落ちない人は、足の指先でホールドを強く押し、腰を壁に密着させているはずです。スラブで止まっているように見える人は、ほんの数センチの重心移動でバランスを完璧に制御しています。これらの「形」を自分の頭の中に焼き付け、実際に自分で試してみることが大切です。

ジムでは他の人の登りを見るのもボルダリングの一部です。素晴らしい登りを見た後は「ナイス!」と声をかけてみたり、勇気を出して「今のところはどうやってバランスを取ったんですか?」と聞いてみたりするのも良いでしょう。呼び方を覚えたあなたなら、具体的な質問ができるようになっているはずです。

ボルダリングの斜面や角度の呼び方を覚えて楽しもう

まとめ
まとめ

ここまで、ボルダリングにおける斜面や角度の呼び方、そしてそれぞれの特徴や攻略のコツについて解説してきました。呼び方を知ることは、単なる知識の習得以上の意味を持ちます。それは、壁を立体的に捉え、ボルダリングというスポーツをより論理的かつ感覚的に理解するための鍵となります。

最後に、今回のポイントを簡潔に振り返ってみましょう。まず、基本の呼び方として以下の4つを覚えておけば間違いありません。

【本記事の要点】

スラブ:90度未満。バランスと足の使い方が命。
垂壁(すいへき):90度。全ての基本が詰まった垂直の壁。
オーバーハング(前傾壁):90度以上。腕の温存と足の技術が重要。
ルーフ:天井のような水平な壁。全身の連動性が試される。

これらの呼び方を意識しながらジムの壁を眺めてみると、今までとは違った景色が見えてくるはずです。「今日は垂壁でフォームを固めよう」「次はあの薄かぶりの課題に挑戦してみよう」と、自分の中で明確な目標を立てやすくなります。また、スタッフさんとの会話の中で「スラブのあそこが難しくて」といった具体的な相談ができるようになれば、上達のスピードはさらに加速します。

ボルダリングは、力だけで登るスポーツではありません。壁の角度、ホールドの向き、そして自分の体の動きをいかに調和させるかを考える「知的な遊び」でもあります。今回学んだ呼び方を武器に、ぜひジムでの時間をより充実したものにしてください。さまざまな斜面に挑戦し、自分なりの攻略法を見つける喜びを、心ゆくまで味わいましょう。

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