ボルダリングで「あと少しで手が届かない」「いつも同じ場所で落ちてしまう」と悩んでいませんか。そんな時に最も効果的な上達方法の一つが、自分の登りを客観的に見直すことです。自分の登っている姿を記録した動画には、上達のためのヒントが詰まっています。
自分では正しく動いているつもりでも、動画で見返すと意外な癖や改善点が見つかるものです。この記事では、ボルダリングの完登動画を撮る際や、見返す時に意識すべきチェックポイントを詳しく解説します。初心者の方でも分かりやすく、次のジム通いが楽しみになるような改善のコツをお伝えします。
動画を活用して自分の動きを分析するスキルが身につけば、難しい課題も効率よく攻略できるようになります。自分の成長を可視化して、完登の喜びをさらに増やしていきましょう。
ボルダリング完登動画で必ず確認したいチェックポイント

自分の登りを動画で振り返る際、ただ漠然と眺めるだけではもったいないです。完登に近づくためには、どこに注目して動画を見ればよいのか、具体的な視点を持つことが重要になります。まずは基本となる4つのポイントから確認していきましょう。
足の置き方と踏み込むタイミング
ボルダリングにおいて、足の使い方は手の力以上に重要です。動画を再生したら、まず「足先がホールドのどこに乗っているか」をじっくり観察してみてください。ホールドの真ん中にしっかりとつま先を置けているでしょうか。それとも、土踏まずで適当に乗せてしまっていないでしょうか。
つま先でホールドを捉えることで、足首の自由度が上がり、次の動作へスムーズに移れるようになります。また、足を置いた瞬間に滑っていないか、踏み込むタイミングで腰が壁から離れていないかもチェックポイントです。力強く踏み込めている時は、次のホールドへ伸ばす手が安定します。
もし足が震えていたり、何度も置き直したりしている場合は、足元への意識が散漫になっている証拠です。動画のスロー再生機能を使い、一歩一歩が確実かどうかを確認しましょう。丁寧な足さばきは、無駄な体力消費を抑え、完登への大きな一歩となります。
重心の移動とバランスの保ち方
次に注目すべきは、おへそのあたりにある「重心」の動きです。登っている最中、重心が常に壁に近い位置をキープできているか確認してください。お尻が壁から離れて後ろに突き出ていると、腕の力だけで体重を支えることになり、すぐに疲れてしまいます。
特に斜め上のホールドを取りに行く際、重心をあらかじめ移動させたい方向へ寄せてから動けているかが重要です。動画で自分のシルエットを見て、三角形のバランス(三点支持)が崩れていないかチェックしましょう。三点支持とは、両手両足のうち3点で体を支え、1点を動かす基本の姿勢のことです。
また、ダイナミックな動き(ランジなど)をする場合でも、予備動作でしっかりと重心を沈め、バネのように飛び出せているかを確認します。重心のコントロールが上手になると、力みが取れて流れるようなムーブ(一連の動き)が可能になります。
ホールドを掴む位置と保持の仕方
ホールドを掴む際、どの指に力が入っているか、どの部分を握っているかも動画から読み取れる情報です。大きなホールド(ガバ)を握りすぎて前腕がパンパンになっていないでしょうか。動画で見返すと、意外と「もっと端を持った方が楽だった」という発見があるものです。
特に「保持」と呼ばれる、ホールドを掴み続ける力に自信がない方は、指の形に注目してください。第一関節を曲げて立てる「カチ持ち」や、指を伸ばして引っ掛ける「オープンハンド」など、そのホールドに適した持ち方ができているかを確認します。
さらに、無駄に何度も持ち直す「マッチ(一つのホールドを両手で持つこと)」をしていないかもチェックしましょう。持ち直しが多いと、それだけでスタミナを削られてしまいます。動画で自分の手の動きを追い、迷いなく最適な位置を掴めているか振り返ってみてください。
腕の伸びと無駄な力の入り具合
初心者に多いのが、常に腕を曲げて壁にしがみついてしまう状態です。これを動画で見ると、体全体がガチガチに固まって見えます。チェックすべきは、「レスト(休憩)や移動の合間に腕がしっかり伸びているか」です。
腕を伸ばして骨でぶら下がるようにすると、筋肉の疲労を劇的に抑えることができます。動画の中で、自分の肘がついつい曲がったままになっていないか探してみてください。もし常に曲がっているなら、それは足に体重が乗せきれていないサインかもしれません。
また、肩が上がって首がすくんでいないかも重要なポイントです。リラックスして登れている時は、肩の力が抜けて動きがしなやかになります。自分の登りを見て「なんだか忙しそうだな」「動きが硬いな」と感じたら、呼吸を意識して無駄な力を抜く練習を取り入れましょう。
撮影した動画を上達につなげる分析のステップ

動画を撮り終えたら、次はそれをどう分析して次のトライに活かすかが重要です。ただ見るだけでなく、いくつかのステップを踏むことで分析の精度は格段に上がります。具体的な分析手順を整理してみましょう。
完登できた時とできなかった時の比較
最も学びが多いのは、同じ課題で「失敗した動画」と「完登した動画」を並べて見ることです。なぜ前回は落ちて、今回は登れたのか。その決定的な違いがどこにあるのかを探ります。例えば、足の踏み込みがわずかに強かっただけかもしれませんし、腰のひねりが深かっただけかもしれません。
落ちた時の動画をスローで再生し、バランスが崩れた瞬間の手足の位置を特定しましょう。次に、成功した時の動画でその瞬間をどう乗り越えたかを確認します。
・失敗時:右足の置き場が甘く、手が届かなかった
・成功時:右足を少し高く上げることで、重心が上がり手が届いた
このように具体的に言語化することで、技術が自分のものとして定着します。
比較することで、自分の成功パターンと失敗パターンが明確になります。これは自分の得意なムーブや、無意識に避けてしまう苦手な動きを知る絶好の機会です。自分を客観視する癖をつけることで、登り全体の安定感が向上していきます。
上手な人の動画(お手本)との違いを探す
自分だけの動画ではなく、YouTubeやSNSで同じ課題を登っている上手な人の動画を探してみましょう。自分の動画とお手本動画を交互に見ると、改善点がより浮き彫りになります。特に注目したいのは、動きの「スピード感」と「リズム」です。
上手な人は、次にどのホールドを持つか迷いがなく、よどみのないリズムで登っていきます。一方で、自分の動画は途中で止まって考え込んでいたり、無駄な動きが多かったりすることに気づくはずです。お手本の人がどのタイミングで足を動かし、どのタイミングで手を伸ばしているかを細かく観察してください。
「このホールドでそんなに腰を落とすのか!」「ここで足を入れ替えるのか!」といった発見を自分のムーブに取り入れてみましょう。完登動画のチェックポイントとして、他人の知恵を借りるのは上達の近道です。自分一人の考えに固執せず、広い視野でムーブを検討することが大切です。
自分の「苦手な動き」を言語化してみる
動画を見ていると「この動きの時だけ不格好だな」「いつもここで躊躇してしまう」という箇所が出てくるはずです。それをただの印象で終わらせず、言葉にしてみましょう。例えば「右側に重心を移しながらのデッドポイント(瞬間的に無重力を作る動き)が苦手」といった具合です。
言葉にすることで、次にジムに行った際に意識すべきテーマが明確になります。「今日は苦手な右への移動を意識して練習しよう」と目的意識を持ってトレーニングできるようになります。この繰り返しが、弱点を一つずつ潰していくプロセスになります。
動画分析は、いわば自分の登りの診断書を作成する作業です。自分の現状を正確に把握することで、どのようなストレッチや筋力トレーニングが必要なのかも見えてきます。主観的な「できた・できない」の感情に左右されず、冷静に自分の動きを分析する時間を持ちましょう。
動画を見返すときは、スマホの画面を指でなぞって重心の移動線をイメージすると、軌道のブレが分かりやすくなります。
完登動画を撮影する際のコツとマナー

良い分析をするためには、見やすい動画を撮ることが不可欠です。また、ボルダリングジムは公共の場ですので、撮影の際のマナーもしっかり守る必要があります。周囲に配慮しつつ、最高の記録を残すためのコツをご紹介します。
登り全体が見えるカメラアングル
動画撮影で最も大切なのは、カメラを置く位置です。スタートからゴールまでが画面に収まるように設置しましょう。近すぎると足元や頭上が切れてしまい、分析の時に情報が不足してしまいます。逆に遠すぎると、細かいホールドの持ち方や足の置き方が見えづらくなります。
基本的には、壁に対して少し斜めの位置から撮るのがおすすめです。真後ろからだと壁との距離感が分かりにくいため、斜めから撮ることで「どれくらい壁から体が離れているか」が立体的に把握できるようになります。また、スマホを縦に置くか横に置くかは、課題の形状に合わせて選びましょう。
高い位置にあるホールドを狙う課題なら縦向き、トラバース(横移動)が多い課題なら横向きが適しています。撮影前に一度画面を確認し、自分が登る範囲がすべて画角に入っているかをチェックするひと手間が、後々の分析を楽にしてくれます。
三脚の使用やスマホの固定方法
手ブレのない安定した映像を撮るために、小型の三脚やスマホスタンドを活用しましょう。床に直接置くだけだと、角度の調整が難しく、登っている途中で倒れてしまうこともあります。最近では、ジムのチョークバッグに取り付けられるクリップ型のホルダーなども市販されています。
また、床がマットになっている場合は不安定になりやすいため、なるべく平らな場所を探すか、バッグなどを土台にして安定させます。動画がグラついていると、細かい重心の移動を見極めるのが難しくなり、分析の質が落ちてしまいます。
もし三脚がない場合は、ドリンクホルダーの隙間やベンチの端などを上手に利用しましょう。カメラを固定できれば、後で動画を見た時に「自分の動き」だけに集中できるようになります。安定した動画は、SNSへの投稿用としてもクオリティが高まるので一石二鳥です。
周囲の利用者への配慮とプライバシー
ボルダリングジムでの撮影において、マナーの遵守は必須です。最も重要なのは「他の利用者の顔が映り込まないように配慮すること」です。特にSNSに公開する場合は、背景に映っている方に許可を取るか、顔が分からないように編集で加工する必要があります。
また、通路に三脚を立てて他の人の通行を妨げたり、長時間一箇所を占領して撮影し続けたりするのは控えましょう。撮影禁止のエリアやジムのルールが設定されている場合もありますので、事前に確認が必要です。混雑している時間帯は撮影を避け、空いているタイミングを狙うのも賢い方法です。
カメラをセットする際は、他のクライマーが登る動線を遮っていないか必ず確認してください。周囲の人に「撮影してもいいですか?」と一言声をかけるだけでも、トラブルを防ぎ、気持ちよく練習できる環境を作ることができます。マナーを守って、お互いに気持ちよく動画を活用しましょう。
| チェック項目 | 撮影時の注意点 |
|---|---|
| 画角 | スタートからゴールまで入っているか |
| 安定性 | 三脚などで固定され、ブレていないか |
| プライバシー | 他人の映り込みに配慮しているか |
| 安全性 | 落下地点や通路を塞いでいないか |
動画で見つかる登り方の悩みと解決策

動画をチェックしていると、多くのクライマーが共通して抱える「悩み」が見えてくることがあります。動画から読み取れる課題に対して、どのような解決策があるのか具体的に見ていきましょう。自分の動画に当てはまるものがないか探してみてください。
足が切れてしまう(滑る)原因の追求
高い位置のホールドを取りに行った瞬間に足が壁から離れてしまう、いわゆる「足が切れる」現象。動画でこれを確認する際は、手が動く直前の足に注目してください。多くの場合、手を伸ばすことに集中しすぎて、足の踏み込みが緩んでいます。
解決策としては、「手を出す瞬間こそ、足でホールドを押し付ける」意識を持つことです。動画をスローで見ると、足が離れるコンマ数秒前に膝が伸び切ってしまったり、かかとが浮き上がったりしている様子が分かります。これを防ぐには、足指の付け根でホールドを力強く捉え続ける筋力と意識が必要です。
また、足の位置が自分にとって高すぎたり低すぎたりする場合も、足が切れやすくなります。動画を見ながら「もしあっちのホールドに足を置いていたら?」とシミュレーションしてみるのも良いでしょう。足が切れない安定した登りは、無駄な体力の消耗を防ぎ、完登率を劇的に上げます。
次の手が出せない時の身体の向き
「どうしても次のホールドに手が届かない」というシーンを動画で見返すと、身体が正面を向きすぎている(正対)ことが多いです。正対は安定しますが、リーチ(腕の届く範囲)が短くなるというデメリットがあります。動画で自分の肩のラインを確認してみましょう。
解決策は、身体を横に向ける「側対」や「ダイアゴナル」といったムーブを取り入れることです。腰を壁に近づけ、肩を入れ替えるようにして手を伸ばすと、驚くほどリーチが伸びます。動画の中で、自分が壁に対してベタッと張り付いていないか、空間を上手に使えているかチェックしてください。
身体の向き一つで、遠かったホールドが魔法のように近く感じられることがあります。自分の動画を見て、上半身のひねりが足りないと感じたら、次はわざと大げさに腰をひねって登ってみる練習が効果的です。柔軟な身体の使い方が、動画を通じた分析で身についていきます。
リーチ不足を感じた時の足の上げ方
身長が低めの方や、リーチに自信がない方が動画で見直すべきは、足の高さです。手が届かない原因は、腕の長さではなく「足が低いこと」であることが非常に多いです。動画で自分がホールドを取りに行く際、足がどこにあるか注目してください。
解決策は、一歩高い位置に足を置き直す、あるいは「ハイステップ」と呼ばれる高い位置への足上げを活用することです。動画を見ると、自分の股関節がどれくらい開いているか、膝がどこまで上がっているかが一目瞭然です。もし膝が十分に上がっていないなら、ストレッチで柔軟性を高める必要性が見えてきます。
リーチ不足は技術と柔軟性でカバーできます。上手なクライマーは、足を高く上げることで身体を押し上げ、距離を稼いでいます。自分の動画を「もし足をもう一段上に置いたらどうなるか」という視点で見直すと、不可能に見えた課題に攻略の糸口が見つかるはずです。
リーチ不足を感じる課題では、ホールドを「取る」ことよりも、足で体を「押し上げる」動きに注目して動画を分析しましょう。
完登動画を活用して自分だけのムーブ集を作る

撮影した動画は、分析して終わりにするのはもったいないです。それらを資産として蓄積し、自分だけの「ムーブ集」として活用することで、長期的な上達に役立てることができます。動画を最大限に活用するアイデアを紹介します。
動画編集アプリでのクリップ作成
撮影した長い動画から、重要な部分だけを切り取って短いクリップにまとめましょう。スマートフォンの標準アプリや、無料の動画編集アプリで十分です。完登した瞬間のムーブや、苦労して克服したポイントだけを繋ぎ合わせることで、自分の成長記録が出来上がります。
特に「上手くいった動き」だけを集めた動画集は、モチベーション維持に最適です。新しい課題に挑戦して壁にぶつかった時、過去の自分が成功させた動画を見返すことで、「自分ならできる」という自信を取り戻せます。また、編集の過程で動画を何度も見返すこと自体が、動きのイメージトレーニングになります。
スローモーション加工を施したり、注目してほしい箇所にテキストで「ここで足を踏み込む!」などのメモを入れたりするのも良いでしょう。自分にとって分かりやすい教則ビデオを作る感覚で、動画を整理してみてください。整理された動画は、自分の財産になります。
成功した時の感覚をメモに残す
動画と一緒に、その時感じた「感覚」を言語化してメモに残しておきましょう。「この動画の15秒目、左指にしっかり力を入れたら安定した」「足の親指の内側で踏む感覚が大事だった」といった具体的なメモです。視覚的な情報(動画)と感覚的な情報(メモ)をセットにすることで、記憶への定着が強まります。
動画だけでは、その時どれくらいの力で握っていたか、どれくらい息を止めていたかまでは分かりません。後で見返した時に、当時の感覚を呼び起こせるようなキーワードを添えておきましょう。
・タイトル:5級 紺色テープ課題
・ポイント:3手目のデッドは、右足で壁を蹴るイメージ
・反省点:ゴール直前で焦った。呼吸を忘れない
このように記録を残すことで、似たような課題に出会った際、即座に対応できるようになります。
日々のトレーニングログとして動画を活用すれば、数ヶ月前の自分と比較してどれだけ上達したかが一目で分かります。成長の実感は、ボルダリングを長く続けるための最高のスパイスになります。動画とメモを組み合わせて、自分だけの攻略本を作り上げましょう。
SNSやコミュニティでの共有とフィードバック
自分の完登動画をSNSやジムのコミュニティで共有してみるのも、上達への強力なブーストになります。自分一人では気づけなかったポイントを、他のクライマーからアドバイスしてもらえるチャンスだからです。ハッシュタグを活用して同じジムの仲間と繋がるのも良いでしょう。
「このムーブ、もっと楽にできる方法はありますか?」と一言添えて投稿すれば、経験豊富な人から「ヒールフック(かかとを引っ掛ける技)を使うと楽だよ」といった具体的なフィードバックをもらえるかもしれません。客観的な視点を取り入れることで、自分の殻を破ることができます。
ただし、アドバイスを鵜呑みにしすぎる必要はありません。自分の体格や筋力に合った方法を模索する中で、ヒントとして受け取ることが大切です。また、他の人の完登動画にポジティブなコメントを送ることで、良好な人間関係が築け、ジム通いがより楽しくなります。動画を通じて、ボルダリング仲間との交流を深めていきましょう。
ボルダリングの完登動画チェックポイントを活用して上達しよう
ボルダリングの完登動画は、単なる記録以上の価値を持っています。客観的な視点で自分の登りをチェックすることで、主観では気づけない課題が明確になり、効率的な上達へと繋がります。
まずは、以下のポイントを意識して自分の動画を見返してみてください。
・足先が正しくホールドを捉えているか
・重心が壁に近い位置で安定しているか
・無駄な力(腕の曲がりすぎ)が入っていないか
・お手本となる登り方と何が違うのか
動画を撮影する際は、マナーを守り、周囲への配慮を忘れないことが大切です。三脚を使って安定したアングルで記録し、失敗した動画も成功した動画も大切に保管しましょう。それらを分析し、言葉にしてメモに残す習慣をつければ、上達のスピードは飛躍的に向上します。
動画分析は、自分の弱点を知るためのものではなく、もっと楽しく、もっと自由に壁を登るための「道しるべ」です。次にジムへ行く時は、ぜひスマホをセットして、自分自身の素晴らしいトライを記録に残してみてください。一歩ずつ着実に、憧れの完登へと近づいていきましょう。



